4. 古代大社実在性の検証(その3)Structure verification no.3
出雲大社倒壊記録Collapse record
古代出雲大社の存在については、その信憑性を裏付ける記録が
古文書に残されています。
それは、奇しくも古代出雲大社の倒壊の記録です。
その特異な建築構造と姿を有する神殿ゆえ、鎌倉時代から
平安中期までの約200年の間にも、7回も倒壊したとの記録が
残っています。
地震による倒壊、強風による倒壊記、中には地震も風も無いのに
突如、鳴動して倒れたという記録も残っています。
年代 | 記録内容 | 出典元 |
1031年(長元四年八月) | 杵築大社社殿が倒壊する | (百練抄) |
同十月、藤原経任より無風倒壊の報告がある | (左経記) | |
1061年 (康平四年十一月) |
杵築大社社殿倒壊 | (百練抄) |
1095年(嘉保二年八月) | 杵築大社が鳴動する | (中右記) |
1109年(天仁二年二月) | 社殿が傾いて顛倒しそうになる | (千家古文書、 北島家文書) |
1115年(永久三年六月) | 社殿に傾きがあり、補修する | (千家古文書) |
1141年(永治元年) | 社殿倒壊 | (千家古文書) |
1172年(承安二年十月) | 社殿が顛倒する | (千家古文書) |
1235年 (嘉禎元年十一月) |
社殿が顛倒する | |
1261年(弘長元年七月) | 出雲の国杵築大社が鳴動する。 | 【帝王編年記】 |
1268年 | 社殿消失? | |
1270年(文永七年一月) | 杵築大社が火災にあうが、ご神体・神宝ともに無事。 | 【帝王編年記】 |
1486年 (文明十八年九月) |
出雲大社が焼失する。 ご神体の消息記述は不明。 | 【長興宿禰記】 【親長卿記】 |

しかしながら、これら構造上の問題がありながらも、
それを承知で何度倒壊しても、同じ姿形のものを造り直し続ける
その情熱は、現代の効率と経済性、そして安全性を最優先し、
構造力学的な裏付けを無視しては造ることの許されない現代建築
では到底考えられないものであり、宗教建築物の持つ思想的理想
があったのではないかという想像と共に、 古人の信仰への情熱に
驚きを感じざるを得ません。
そして、これらのことは、どこか我々の心を強く揺さぶるものを
持っているような気がします。
またかつては、出雲大社の遷宮も伊勢神宮と同じく、造営遷宮
であったと思われます。
しかしながら、巨大な柱を始めとする膨大な材木の調達が困難と
なり、途中から修繕遷宮とならざるを得なかったと考えられます。
あまりにも大木調達に困り、他の神社の御神木を譲り受けて遷宮
を行っていたという話も残っています。
近年の「平成の大遷宮」も修繕遷宮となりました。
